H15 飛龍の滝と柱状節理(ひりゅうのたきとちゅうじょうせつり)
~箱根火山前期中央火口丘にかかる県内最大級の滝~
Hiryu-no-taki Falls and columnar joint
ジオサイト解説
上段15m、下段25m と、2段に分かれて流れ落ちる滝です。「飛龍の滝」とは、龍が飛揚するかのような形からこの名前がついたといいます。神奈川県内で最大規模の滝で、鎌倉時代には箱根権現信仰の行者が鎌倉街道を進む途中、この滝に打たれて身を清めたと言われています。安山岩質の浅間山溶岩が造る滝です。飛龍の滝に沿った登山路は、江戸時代の街道筋にあります。畑宿と芦之湯温泉を結ぶ近道であり、通称「滝坂道」と呼ばれました。
麓の畑宿は箱根・小田原地方を代表する伝統工芸品である「寄木細工」の産地の一つとして知られています。寄木細工は色の異なる木を組み合わせて模様を作り、箱などの表面を装飾する技法であり、江戸時代後期からの箱根の土産物として人気を博しています。
滝へ行く歩道の途中にある巨大な岩体の割れ目は、「柱状節理(※1)」(岩体に入った柱状の割れ目)と呼ばれるものです。噴火の際に流れてきた溶岩(※2)が冷えて固まる際にできたひび割れで、規則的に割れたものです。飛龍の滝へのコース沿いにある柱状節理は、ハイキングコースの沿道で間近に観察することができます。
※1 柱状節理:溶岩が冷え固まる時にできた割れ目(節理)のうち、柱状に規則的に割れたもの。溶岩の底面や上面に対して垂直方向にでき、断面は6角形などの形状をなす。
※2 溶岩:マグマがバラバラに飛び散らずに地表に流れ出たもの。高温で液体のものと、冷え固まって固体のもの、両方に使う。
During the Kamakura period, practitioners of the Hakone Gon-gen faith who were traveling the Kamakura road performed cold-water ablutions by standing under this falls to purify themselves.
The rock forming this falls is andesite, formed during an eruption 120 thousand years ago.